STORYストーリー
第一部 鳴浦の灯
PROLOGUE
灯が消えた夜から、
三年。
西に、炉の火で栄えるローデン大陸。東に、灯台の光で夜の海を守る八灯の島々。そのあいだに、澪の海が横たわっている。
大陸の南を治めるグランヴェル王国は、炉を燃やす青い石「夢晶」を求めた。その石がいちばん多く眠っているのは、海の向こうの島々の下だった。島の言い伝えは、夢晶を掘り尽くせば夜の灯が消えると教えていた。交渉は七年続き、ある春、王国の艦隊が澪の海を渡った。
五年目の夏、八灯の最後の港を囲んだ艦隊が、一夜のうちに海の底へ消えた。波の下から立ち上がった獣の群れ。その先頭に立つ少女を、王国の兵は「夢喰いの魔女」と呼んで恐れた。大戦最後の冬、世界じゅうの灯がひと晩だけ消え、魔女の姿はどこにもなかった。
それから三年。森の獣が別の姿に変わり、海の底から見たこともない魔物が這い上がってくる。王国と島々は剣を納めて手を結び、魔法使いたちは魔物と戦うための術を編み出した。降臨、転生、進化。その術で戦う者たちを、人は英雄と呼んだ。

PART 1
第一部 鳴浦の灯
鳴浦の灯台が消えて、四十日。夢晶の積み荷を守るため、雷はひとりで八灯の港に送られた。夜ごと、眠ったままの町の人々が海へ歩いていく。沖からは、言葉の聞き取れない歌が流れてくる。
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